「耐震建築問答」(昭和八年)には、大工たちが筋違を入れることに大きな抵抗を感じて
いると書かれていた。すなわち、その大工の立場からは、筋違の入る軸組構法は伝統的木
造構法とは相容れない構法と言うことになるだろう。その抵抗感の内には、伝統的軸組へ
の信頼、その水平垂直材の軸組に斜材である筋違を付けることを技術の未熟さと感じるよ
うな大工としての矜持、水平垂直の軸組から成る伝統的真壁に対する美意識、近代化過程
の中での大工の立場に対する危機意識など、様々な思いが絡み合っていたことであろう、
と近刊「木造軸組構法の近代化」の序文にある。
伝統構法とはどのようなものなのかを考えるとき、明治以降の西洋からの技術導入が、
それ以前の構法にどのように影響を与え、本来培われてきた日本の木構造の技術がどのよ
うに変化し、どのようなものとしてその継続性をみてとれるのか。現在このことについて
の評価が十分されているとは言えない。今回の勉強会では、江戸の技術から、明治以降の
西洋技術の導入に伴う現在の在来工法の成立過程において、日本の木造軸組構法がどのよ
うな展開を見せてきたのかについて著者である源愛日児氏から講義いただき考えてみたい。